デスティネーション・ストア | File 046:from_Antique & en_Santé(東京都・狛江)
2024.07.20
from_Antique & en_Santé

デスティネーション・ストア | HONEYEE.COM的個性派シティガイド 
File 046:from_Antique & en_Santé(東京都・狛江)

スマートフォンでどこにでも行った気になれる時代。むしろスマートフォン片手に「ここにしかない」を体感しに行ってみてはどうだろう。HONEYEE.COMが選んだ“目的地になる店”を紹介する連載「デスティネーション・ストア」。File 046は狛江市・東和泉にオープンした、ヴィンテージウェアとワインが同居するお店「from_Antique & en_Santé」。

Text Takaaki Miyake

1階には老舗鰻屋が

from_Antique & en_Santé

本企画でもすでに2つのデスティネーションストアを紹介しており、近年少しずつホットなエリアになりつつある予感を感じさせる東京都・狛江市。「日本で2番目に面積の小さい市」としても知られるこの街に、また新たに行くべき目的地が誕生したと聞いて早速足を運んだ。

2024年5月にオープンしたばかりのヴィンテージウェアショップ&ワインショップ「from_Antique & en_Santé」は、狛江駅から徒歩1分という立地にありながら、まるで隠れるように地元の老舗鰻店が1階に入るビル内に店を構えている。しかも5階にある店内へ辿り着くには、エレベーターではなく階段を登るほかない。

そんなユニークなロケーションで同店を営むのが、オーナーの田中祐毅さんだ。元々は三越伊勢丹のファッション部門で総合職としてキャリアをスタートし、現在はヨーロッパヴィンテージを扱うYouTubeチャンネル「ゆーみん&きうてぃ」でも活動をしている。

時代を超えたロマンを伝える

「高校生の頃にファッションに目覚めた当時は、安さ先行で古着ばかりを買っていました。その後 COMME des GARÇONS や Yohji Yamamoto のようなブランドに影響を受けたこともあって、大学時代にパリへ行ったことが一つのきっかけでしたね。現地のヴィンテージマーケットで買った洋服を、帰国後に販売してみたんです」

これが後に「from_Antique」を立ち上げることに繋がる、田中さんの原点であった。その後も世界中を旅しながら古着を買い付けては日本での販売を続け、最終的にバイヤーを目指したことから三越伊勢丹へ入社を決める。

「ですが結局は会社という枠組みの中になかなか馴染めず、わずか1年で退社をしてしまいました。そこからは学生時代にやっていた古着の販売を本格化しようと思い、2018年にEC上で『from_Antique』をスタートしたんです」

初めは安価という理由で入った古着の世界だが、現在田中さんが大切にしているのは洋服一枚一枚が持つ時代背景やストーリーを伝えることだ。ゆえに店内ではフレンチヴィンテージを中心とした“語る要素”が多いヴィンテージウェアが並ぶ。

「もちろん現存するどのブランドにも歴史はありますが『大昔の人が着ていた〇〇』だとか、『あの年代の洋服が今でも残っている』という時間的なロマン。そして伝えるべき文化や価値に魅力を感じています」

意外にありそうでなかった組み合わせ

from_Antique & en_Santé

「from_Antique」のユニークな点はなんと言っても、ワインショップ&バー「en_Santé」が店内で同居することだろう。当初構想になかった「from_Antique」の実店舗オープンを決めた理由もワインとの出会いだったという。

「ヴィンテージウェアの買い付けでフランスへ足を運ぶうちに、ある先輩からナチュラルワインの奥深さを教えてもらいました。中でもアルボワ・ピュピアンという銘柄は格別に美味しくて圧倒されました。

しかも生産者と会話を重ねていくうちに『ワインにはこんなにも情熱や人生が凝縮されている』ということに衝撃的で。それはヴィンテージにも通じると同時に、ワインは作り手が見えるという違いも面白い点です」

相性の良さそうな“ヴィンテージ × ワイン”という組み合わせだが、世界的に見ても確かに珍しい存在かもしれない。

「ワインショップが古着を扱っていたり、古着屋でワインを少し飲める場所はあると思います。ですがウチみたいにボトルでワインを買えて実際に店内で飲める。しかもヴィンテージも販売しているなんて、世界でも見たことがありません。これだったら新しい価値を生み出せるし、リアルの場でやる意味があると思ったんです」

ゆくゆくはビストロも

from_Antique & en_Santé

オープンからまだ数ヶ月と間もない同店だが、すでに次のステップ、さらのその先も見据えているというから驚きを隠せない。

「今後の動きとしてはよりカジュアルに来ていただけるような新店を考えています。例えばですが、洋服は手の届きやすいヴィンテージ、ワインについても今より手頃な銘柄を揃えたお店作りです。さらには美味しいワインが飲めるビストロなんかもオープンしたいですね。

今は自分自身が狛江に住んでいることもあって、他の場所でやるつもりはありません。狛江に住めば住むほどに好きになっていて、ローカルだからこその面白さを強く感じています」

狛江を盛り上げる「from_Anrique」と「en_Santé」。そのネクストステージも楽しみだが、まずはヴィンテージをツマミにワインを、グラスを片手に古着を嗜みに行ってみてはいかがだろう。

DESTINATION STORES | File 46
フロムアンティーク & アンサンテ | from_Anrique & en_Santé
東京都狛江市東和泉1-19-1扇屋ビル 501 5F
営業時間:14:00〜20:00(月〜木・日) / 14:00〜22:00(金・土)
https://www.instagram.com/from_antique/
https://www.instagram.com/en_sante_komae/