MUST-SEE ART | 「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」@森美術館
2024.12.27

現代にも通ずる、苦しみからの解放のヒントが?
2024年9月25日(水)〜2025年1月19日(日)に開催

週末の“To Doリスト”に加えておきたい、今見るべきアート展を毎週金曜日に紹介するHONEYEE.COMのMUST-SEE ART。現代アートを語るにあたり欠かせないアーティストの一人である Louise Bourgeois(ルイーズ・ブルジョワ)が、“地獄から”、そして約30年ぶりに日本へも帰ってきた。100点を超える作品から70年にわたるキャリアを紐解く、大規模個展は注目の内容に。

ルイーズ・ブルジョワ
「ママン」
1999/2002年
ブロンズ、ステンレス、大理石
9.27× 8.91 ×10.23 m
所蔵:森ビル株式会社(東京)

これまで他の多くのアーティストにも影響を与え、代表作の一つである巨大な蜘蛛の彫刻「ママン」でも広く知られる Louise Bourgeois。

ルイーズ・ブルジョワ
「雲と洞窟」
1982-1989年
金属、木
274.3×553.7×182.9 cm
撮影:Christopher Burke
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

70年にわたるキャリアにおいてはインスタレーションや彫刻、ドローイングや絵画など、様々な手法を用いて性別や意識といったテーマの中で、対極に存在する事象をアート作品で共存させながら自己の記憶や感情を探求してきた。

現在、森美術館で開催中の個展「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」は、日本では実に27年ぶり、そして国内最大規模のスケールとなっている。

ルイーズ・ブルジョワ
「ヒステリーのアーチ」
1993年
ブロンズ、磨かれたパティナ
83.8×101.6×58.4 cm
撮影:Christopher Burke
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

2010年の没後も世界の主要美術館で展示される同アーティストだが、今回は100点を超える作品が一堂に会する見応えゆえに、展示が3章から構成されている。本展では98歳まで制作を続けたアーティストとしての活動の全貌に迫り、展示作品の約8割が日本初公開という見逃せない内容なのは間違いない。

ルイーズ・ブルジョワ
「無題(地獄から帰ってきたところ)」
1996年
刺繍、ハンカチ
49.5×45.7 cm
撮影:Christopher Burke
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

そして展覧会の副題「地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」は、ハンカチに刺繍で言葉を綴った晩年の作品からの引用だ。

ルイーズ・ブルジョワ
《カップルIV》
1997年
布、革、ステンレス鋼、プラスチック、木、ガラス
彫刻:50.8×165.1×77.5 cm
展示ケース:182.9×208.3×109.2 cm
撮影:Christopher Burke
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

このフレーズからはアーティストが抱えていた感情の脆さやブラックユーモアの片鱗だけでなく、偶然にも時代を超えて現代の世相とのリンクを感じさせる。こんな時だからこそアートを頼りに、苦しみを克服するヒントが得られるのかもしれない。

すでに会期は終了間際だが、まだ観に行けていない人は年末年始のタイミングで鑑賞してはいかがだろう。

<Information>

「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」
会期:2024年9月25日(水)〜2025年1月19日(日)
会場:森美術館 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階
会館時間:10:00~22:00
※火曜日のみ17:00まで
※2024年12月31日(火)は22:00まで
※最終入館は閉館時間の30分前まで