BEHIND THE PRODUCT #4
2022.01.15

「テック系アウター」 後編

ファッションプロダクトのストーリーやその裏側にあるあれやこれやを、少しだけ厳しい目線と深いプロダクト愛でお届けする連載企画。雑誌『PRODISM』編集長の渡邊敦男と『HONEYEE.COM』編集長の武井幸久、そしてスタイリストの来田拓也が毎回テーマを決めてピックアップしたモノについて縦横無人に語ります。「テック系アウター」後編ではシェル系プロダクトの注目株を5ブランドからピックアップ。


Edit&Text : Atsuo Watanabe(PRODISM)&Yukihisa Takei(HONEYEE.COM)
Styling : Takuya Raita
Photo : Kengo Shimizu


Goldwin

GORE-TEX PRO Jacket

「贅沢なアウトドアギア」な感じだよね”(渡邊)

来田拓也(以下 R):後半一着目はGoldwinのハードシェルジャケットです。

渡邊敦男 (以下 W):これは春夏なの?

R:いえ、定番で展開しているプロダクトですね。

W:あ、これは機能的にもガチなやつだね。

武井幸久(以下 T):GORE-TEX PRODUCTS PROを使っているからガチですね。Goldwinってここまでのモノ作ってるんだ。

R:これ、ジップが開閉の時に全く引っかからないのが凄いです。

T:ネックの高さも雪が入ってこないように設計されてるのか。

W:だけど街で着るには地味だね。

T:そうですね。あと着ているとシャカシャカ音がするのが気になるかな。

R:それ、確かに気になりますよね。シャカシャカは好きじゃないですけど、最近Goldwinは本当に機能面が優れているし、アパレルとしても無駄なものがなくてカッコいいと思ってます。

W:「贅沢なアウトドアギア」な感じだよね。

R:個人的には機能系のジャケットを着るんだったら、ロゴのない、これぐらいシンプルなものが好きです。

W:アームの部分が広いから、スーツやジャケットを着る職業の人でも雨の日とかは上から着られそう。ビジネスマン用のコートに飽きて、違う種類のアウターが欲しい人にはオススメかも。

R:シルエットも今っぽいですもんね。

W:襟が高いからネクタイの部分まで隠せるのもいい。

T:あとは色も絶妙に良いな。

R:確かにこのシンプルさはフォーマルな場面でも全然着れちゃいますね。

W:オーバースペックなのかもしれないけど、フォーマルなアウターとして着ると贅沢。だけどジャージじゃないからカジュアル過ぎない。なんなら傘をささなくて良さそう。しかもベンチレーションも付いてるんでしょ?

R:はい、そう考えてもこれは良いジャケットですね。

W:自転車で通勤しているビジネスマンとかにも良いかな。

R: 個人的にはもう少し丸みを帯びたシルエットだったら最高ですね。

優れた防水透湿性と強度を兼ね備えたGORE-TEX PRODUSTS PROの3層構造を採用したGoldwinのハードシェルジャケットは、3000メートル級の冬山縦走やアイスクライミングにも対応。“ムササビ型”のパターンや全体のパターン設計によって動きやすさも追求している。本格的なマウンテン仕様ながら、シンプルなデザインは街にもフィット。

Goldwin
GORE-TEX PRO Jacket
¥82,500/Goldwin Harajuku TEL: 03-6419-7920



SOPHNET. × Marmot

THNDERLIGHT JKT

SOPH.ブランドのコラボっていつもトレンドの半歩早い”(武井)

R:次がSOPHNET. × Marmotのコラボアイテムです。90年代に流行ったアルパインモデルの“サンダーライトジャケット”だそうです。

T:90年代にMarmotって流行った? 全然記憶ない。

W: ヒップホップのカルチャー辺りはThe North Faceのシェルとか流行ってましたよね。その流れでMarmotも少し流行ったのかな。

R:Marmotは次に流行るブランドって言われてますよね。

W:それはどうでしょ(笑)。

T:いや、あるのかも。SOPHNET.とのコラボっていうのが気になる。SOPH.ブランドのコラボっていつもトレンドの半歩早いから、SOPHNET.が何かをやると、もうある種の正解みたいな気になる。ブームの火付け役的な。

W:SOPH.って黎明期からマウンテンパーカはずっと出してるイメージがあって。ブランド要素が全部入りってわけじゃないけど、SOPH.だから実現できたコラボレーションだなと思います。個人的には多分この一着が家を出る際、何も考えずに羽織る一着かも。

R:袖のポケットのディテールとかグッときますね。

W:それはSOPH.特有のディテールで、アウターで別注をやるときはだいたい左袖にジップポケットを付けるんですよ。シグネチャー的なポイントということ。

R:へー、詳しい(笑)。

T:知らなかった。さすがだわ(笑)。

R:気の利いたブランドですよね。他のブランドが別注で作らない洒落たアイテム作るのが上手いっていうか。

W:言わずもがな、プロダクトから余裕を感じられます(笑)。

1990年代のMarmotのアルパインモデルを象徴する、防水透湿性に優れた高機能3レイヤーシェル “サンダーライトジャケット”をSOPHNET.がアレンジ。SOPHNET.の定番ディテールである左袖口のジップポケット、右袖口のスコーピオンロゴ刺繍の控えめなカスタマイズが効いている。他にブラックとパープルの計3色展開。

SOPHNET. × Marmot
THNDERLIGHT JKT
¥53,900/SOPH. TEL: 03-5775-2290



N.HOOLYWOOD TEST PRODUCT EXCHANGE SERVICE

WATERPROOF JACKET

『ダイ・ハード2』の敵もこんなの着てたよね”(渡邊)

R:これはN.HOOLYWOODの3レイヤージャケットです。

T:こんなの出してるの全然知らなかった。

R:N.HOOLYWOOD TEST PRODUCT EXCHANGE SERVICEの新作で、冬シーズンに発売で白のカラーチョイスっていうのが面白いなと。しかも白だけど防水・撥水なので、汚れは付いてもシミは付かないですね。

W:これ裏地にフリースを使っているんだ。

R:ここまで機能系のブルゾンで白って初めてなくらい、ほとんど見たことないですよね。2000年代のドイツ特殊部隊が着用していたアウターからの着想だそうです。

T: 雪地帯のカモフラっていうことだよね。

W:雪国ってこんな薄いアウター着るんですかね?

R:レイヤリング次第ですかね。でも実際に雪山で着られていたみたいですよ。

W:前回もSEVEN BY SEVENの白いアウターが出てきたけど、街着の新定番みたいなアプローチでリリースされるんだろうね。

R:とは言いつつも難易度はめちゃくちゃ高い……。

W:映画『ダイ・ハード2』の敵もこんなの着てたよね。

T:そうそう、それをさっきから言おうと思ってた(笑)。

W:世代っすね(笑)。でも実際に着るとそこまで奇抜でもない。

R:ぱっと見ではわかりませんが、表地の感じとか非常に手が込んでいます。

T:うん、かなりファッション的なアイテムだね。まあ売れるのは黒のカラーの方だろうけど。

W:これはデザイナーの尾花君が着ているとかっこいいと思うし、古着とかにも合うのかなって思う。

N.HOOLYWOOD TEST PRODUCT EXCHANGE SERVICEが優れたミリタリーアウターをピックアップし、現代的にアップデートしているシリーズの最新モデル。今回は2000年代のドイツ特殊部隊が雪山で着用していたジャケットから着想し、機能的なディティールと防寒性を追求し、防水・撥水・透湿性に優れた3レイヤーに。着用難易度は高いが、今回はあえてホワイトのモデルをセレクト。ブラックも展開あり。

N.HOOLYWOOD TEST PRODUCT EXCHANGE SERVICE
WATERPROOF JACKET
¥79,200/Mister hollywood TEL: 03-5414-5071




and wander

Schoeller 3XDRY Stretch Jacket

ヨーロッパのアウトドアブランドのディテール使いが感じられる”(来田)

R:こちらがand wanderのストレッチジャケットです。

T:海外でもやたらと人気のブランドだよね。

R:糸がリフレクターになっているギミック要素の強い一着です。

W: 今回の中だとオレはコレが一番要らないな。

T:ストレートだなー(笑)。だけど日本にも一定のファンはいるブランドですよね。

W:それはもちろん理解できる。でも、このジャケットはジップの使い方がイマイチなんだよね。特に両サイドの長いジップ。プルオーバーだったらわかるけどフルジップのジャケットに必要なのかなって感じ。全体的に“ジップおばけ”みたいな印象。

T:昔よりも機能面でガチなブランドになりましたよね。

R:デザイン的には、ヨーロッパのアウトドアブランドのディテール使いが感じられますよね。だから海外でも人気が高いのかなって。

W:でもMonclerとコラボする感じは分かるよね。ちゃんとデザインはされてるから。

T:ブランド規模が拡大してからテック系素材も豊富に使えるようになって、さらに人気が出始めたんじゃないかっていう個人的な予想です。

W:じゃあ変革期を迎えているブランドって感じですかね?

R:テックウェア系の中でも他と被らないですし、異質なブランドですよね。

撥水性、撥油性、速乾性、透湿性に優れた“Schoeller 3XDRY”という素材を表生地に採用したジャケット。腰部分の大きなポケットはメッシュになっており、ベンチレーションとしても機能する。リフレクターステッチ、リフレクターのパーツなどが夜間視認性を高めつつ、デザインとしても機能しているのがポイント。

and wander
Schoeller 3XDRY Stretch Jacket
¥71,500/and wander TEL: 03-5787-3460



nanamica

2L GORE-TEX Short Soutien Collar Coat

“第2のnanamicaって出てこないよね。”(渡邊)

R:最後の一着はnanamicaのGORE-TEXアウターです。

W:これって定番で展開しているコート?

R:これは今季の新作ですが、このステンカラーはしっかりとシーンに定着した感じがしますよね。

W:好きな人はデザイン違いで2、3着は持ってそうだよね。

R:こういうテック系のコートをやり始めたのってnanamicaなんですかね?

T:多分そうじゃないかな。同時多発で出ていたのかもだけど。

W:GORE-TEXを扱えるブランドが限られている中で、割と昔からnanamicaってやってた気がする。

T:だけど存在自体が謎なブランドではありますよね。The North Faceとの関係性とか含めて。

R:裏地にGORE-TEXをあしらうようなブランドって、今は逆に少ないですよね。ちょっと前はいっぱいあった感じですけど。

T:“テックカジュアルの仕掛け人”として最後までちゃんと残りましたね。

W:あと値段が圧倒的に手頃!

R:nanamicaの服は、サイズを上げて着ると程よく今っぽいですしね。

W:そうなんだよね、nanamicaって実はサイジングが肝なんだよ。タイトだったりダボっとしたりするから、絶対に試着した方が良いブランドだと思っていて。シンプルな作りが多いけど、実はシルエットをイジってることもあるから。

T:敦男さんはnanamicaのアイテム持ってる?

W:昔から代官山店のスタッフが友達だったこともあり、結構お店で買ってましたね。このGORE-TEXのステンカラーとかも気に入ってよく着てましたよ。

T:この¥53,000って、他ブランドが結構高くなっている中では安く感じちゃうね。

W:すみません、これは難癖をつける部分がないかも(笑)。あえて言うなら変わらなすぎ?難癖は冗談だけど、第2のnanamicaって出てこないよね。

R:機能とファッションをうまく融合してるブランドって意外と少ないですもんね。

W:まあnanamicaは先駆けだし、プロダクトのクオリティも高いから、そんな簡単に後追いされないか。

R:今はDAIWA PIER39とかそっちの流れに向かってますよね。ワントーン系の機能アウターって多いですけど、ファブリックが前に出てくるシェルとかってあんまり見ないです。

W:今回、全体的に言えるのが、表面が無地ばっかりで、プリントを使った派手なやつとかがなかったね。

R:時代的に今は少ないんですかね?

W:あんまり単色ばっかりだと個性が出にくいかな。だから機能的な部分で補完してるんだろうけど。逆張りじゃないけど、派手なものがもっと出てきても良いよね。

T:じゃあ今回はこんな感じでまた次回!

nanamicaでは定番的なイメージとなったGORE-TEX搭載のステンカラーコート。今回紹介するのはラグランスリーブのショート丈。生地には防水透湿素材の2L Polyester Twill GORE-TEX Fabricsを使用しており、裏地にはチェック柄のコットン / クールマックス®を採用している。まさにビジネスからカジュアルまで幅広く使える一着で、雨の日はもちろんそれ以外の日も使える汎用性の高さがウリ。

nanamica  
2L GORE-TEX Short Soutien Collar Coat  
¥58,300/nanamica TOKYO TEL: 03-5728-3266



(左から) 渡邊敦男(『PRODISM』編集長)、スタイリスト 来田拓也、武井幸久(HONEYEE.COM)



渡邊敦男(『PRODISM』編集長)

1973年生まれ。『Asayan』、『Huge』などの編集を経てフリーランスに転身。2013年にプロダクトにフォーカスした雑誌『PRODISM』を創刊し、現在も編集長として活動中。メンズファッション、スニーカー、ストリートウェアに通じており、独自の美学を持つ。

スタイリスト 来田拓也

1986年生まれ。甲斐弘之氏に師事し、2012年に独立。メンズファッション誌を中心に活躍。トレンドを敏感に取り入れたプロダクトスタイリングにも定評がある。現在アシスタント募集中。

武井幸久(HONEYEE.COM)

1972年生まれ。雑誌『EYESCREAM』の編集者を経てHONEYEE.COMの編集長に就任しつつ1年で退任。フリーの編集者、クリエイティブディレクターとしてブランドサイトやメディアの立ち上げに携わり、2021年秋にHONEYEE.COM編集長に出戻り就任。