BEHIND THE PRODUCT #9
2022.04.25

ファッションプロダクトのストーリーやその裏側にあるあれやこれやを、少しだけ厳しい目線と深いプロダクト愛でお届けする好評連載企画。雑誌『PRODISM』編集長の渡邊敦男と『HONEYEE.COM』編集長の武井幸久、そしてスタイリストの来田拓也が毎回テーマを決めてピックアップしたモノについて縦横無尽に語ります。今回も5つのブランドから気になる最旬アイテムをピックアップ!




Edit&Text : Atsuo Watanabe(PRODISM)&Yukihisa Takei(HONEYEE.COM)
Styling : Takuya Raita
Photo : Kengo Shimizu


nonnative × NOMA t.d.

シャツ / パンツ

“NOMA t.d.がやるテキスタイルって、他のブランドにはないから不思議”(渡邊)

来田拓也(以下 R):nonnativeとNOMA t.d.のコラボです。

武井幸久(以下 T):最近NOMA t.d.の名前をよく名前聞くようになったね。

渡邊敦男(以下 W):独自のテキスタイルが有名ですよね。

R:割と昔からあるブランドですけど、コラボは確かによく見ますね。nonnativeとは親交があるみたいで、2回目のコラボレーションです。

T:今までもnonnativeでこういう柄って作ってたよね?

R:リバティ柄とかはやっていましたね。

W:NOMA t.d.がやるテキスタイルって、他のブランドにはないから不思議。

T:うん、コレは展示会で見てすごく良いなって思ってた。

W:これからの季節にまさに着たいアイテムだよね。シャツとショーツとアウターもあるし。

R:アウターは7月発売なので少し先ですけど、柄モノなのにGORE-TEXのものも出ますよ。

T : この柄でGORE-TEXはやばい。

W:柄だけど嫌味さがないよね。

R:爽やかで取り入れやすそう。

W:普通は柄モノだと暗い色を選びがちだけど、シャツとかは白の方が良いかも。テキスタイルからセンスの良さを感じるな。ありそうでない柄で、清潔で上品さもある。

T:このショーツも見れば見るほど良いな。

nonnativeの41st - SUMMER & AUTUMN Collection 「WEST」 のテーマのもと、NOMA t.d.と共作したアイテム。NOMA t.d. によるバンダナを想起させるオリジナルテキスタイル“DRAW YOUR GARDEN”を「WEST」仕様にカラーアレンジしている。

nonnative × NOMA
シャツ ¥37,180、パンツ 31,680(vendor)
TEL : 03-6452-3072



F/CE.®︎

防蚊加工メッシュシャツ

“キャンプとか遊びのアウトドアベースの発想だからこそ、こういうアイデアも出てくる” (武井)

R:防蚊の加工をしているF/CE.®のメッシュのプルオーバーです。

T:これはTシャツとかの上に着るってことだよね?

R:そうですね、透けているんでインナーは何かしら着た方が良いかと(笑)。

T:それにしても、F/CE.®︎にしては珍しく攻めた柄だね。

W:面白いアイテムだね。蚊を寄せ付けないっていう発想は、アウトドア志向の高いブランドならではだよね。

R:他にも同じ素材で、パーカーとかショーツも作ってるみたいです。夏にフェスとか川遊びとかに着ていくのも良さそうかなと。

W:キャンプとかも良いね。このブランドのデザインソースは基本的にアウトドアなんですか?

T:そうですね、ただ山登りとかのハードな方じゃなくて、キャンプとか遊びのアウトドアベースです。だからこそ、こういうアイデアも出てくるのかなって思います。

R:これはちょっと欲しいです(笑)。

W:柄が良いよね。

R:柄が良いっす。

T:うん、柄良いよね、って何回言うねん(笑)。

F/CE.®によるオーバーサイズの総柄メッシュシャツ。生地に防蚊加工を施しているので、虫を寄せ付けにくいという機能も持っている。モロッコの特徴的な建築物や楽器、動物などをコラージュした総柄グラフィックは、シーズンテーマであるEphemerality(=儚さ)をテーマに、F/CE.®が目指す持続可能性のゴールを表現している。

F/CE.®︎
メッシュシャツ ¥30,800(F/CE.®︎ Flagship.Store Tokyo)
TEL :  03-6452-5867




DESCENDANT

KhaKeeシリーズ フィッシングシャツ

“DESCENDANTを着ている男性って誠実そうなイメージある(笑)” (渡邊)

R: DESCENDANTが今シーズンから始めたKhaKeeシリーズというベージュに特化した新ラインからのフィッシングシャツです。

W:流行りのボックスワイドシャツに、釣り的なアウトドア要素をプラス。それでDESCENDANTだから売れる理由が満載だね。

R:メッシュ素材を裏に使ってるんですけど、ここまで機能性をデザインから感じさせないのも上手いなと思います。

W:リラックスウェアっていうか、快適さとかにこだわってるのかもね。シルエットも今な感じ。ファミリーデーにお洒落をしようと思って、こういうシャツを着るのは良いかも。

T:家族がテーマなブランドだしね。この前は京都にも新しいお店をオープンしてたし、どんどん人気出ている感じする。

R:肩肘張らずに着れる洋服で、普通に見えるのにカッコイイのが理由かもですね。

W:DESCENDANTを着ている男性って誠実そうなイメージある(笑)。

T:なるほど、そうきたか。

W:ツヤのある生活をしている人って、DESCENDANTの服を着なさそうじゃないですか?

T:じゃあ敦男さんは着れないな(笑)。

W:似合うように努力します(笑)。

サンドベージュにフォーカスしたDESCENDANTのKhaKeeシリーズから、オーガニックコットンを使用したツイル仕立てのフィッシングシャツ。ショートスリーブのスタンダードフィットにプラケットフロント、D管タブのフラップポケット付き。バックヨークがメッシュ裏地のベンチレーションとして機能する。

DESCENDANT
フィッシングシャツ ¥26,400(DESCENDANT)
www.descendant.jp 




DAIRIKU

ボーダー  / ラグラン ロングTシャツ

“古着をベースにアメカジを再構築して、モダンに昇華しているのを感じます”(来田)

W:若手の人気ブランドだ。ポップアップをするとすぐ完売するんでしょ?

R:かなり人気ですね。この前の楽天ファッションウィークのショーでも、客入りが一番だったらしいです。

W:こうやって若手のブランドが出てくるのは、見てて楽しいよね。

T:デザイナーも若い人だよね?

R:20代後半だったと思います。古着をベースにしていて、アメカジを再構築してモダンに昇華しているのを感じます。

T:20代のデザイナーってアメカジの古着に対して、あまり興味ないかと思ってたから意外だったんだよね。それが結果的にこういったブランドが、今の若い世代にも人気が出るっていう。

R:10年前ぐらいに流行ったLevi’s 517とか、タイト目なサイジングをより立体的にしてるのかなって。それがまた一周してリバイバルして、若い人たちに支持されている感じがします。

T:グラフィックもどこかで見たことある気がするんだけど、どこか違うしね。

W:1990年代から2000年初頭に僕らが着ていた洋服が、今は古着になってますもんね。そのデザインがベースになってるというのは、僕らの世代とは違う古着の価値観で面白い。今の感性を持った若い子が作っていて、勢いも感じます。サイジングとかデザイン採りも若い感じがするし。だからおじさん世代には絶対着てほしくない(笑)。

T:やっぱりオレ着ちゃダメか(笑)。

W:海外にはストリートだけど、ちょっとお洒落なブランドってたくさんあるじゃないですか。ポップなんだけどラグジュアリーさも感じるっていう。それの日本版っぽいかも。

T:タグにシーズンテーマみたいなのが書かれてるのも面白いよね。

R:毎シーズン映画がリソースになっていて、今回はジム・ジャームッシュの『ミステリー・トレイン』とかがデザインのインスピレーションになってますね。

W:やっぱり目の付け所が面白いよね。もっともっと伸びそうな気がする。

近年人気上昇中のDAIRIKUによるボーダーとラグランのロングTシャツ。アメカジ古着などで既視感のあるデザインを現代の感性でアップデート。今シーズンは1989年にジム・ジャームッシュ監督が手がけ、永瀬正敏が出演したことでも知られる映画『ミステリー・トレイン』がインスパイアソースになっている。

DAIRIKU
ボーダー ¥29,700、ラグラン ¥17,600(DAIRIKU)
d.dairiku@gmail.com




L/UNIFORM x fargment design

トートバッグ

“このコラボレーションで今後もっと浸透しそう。飽きずにずっと使えそうだしさ” (渡邊)

T:いやー、それにしても(藤原)ヒロシさんの手がけるコラボ数ってすごいよね。毎月のようにニュース情報が届きます。

R:ここ数年は特にそうですよね。

T:けど、このL/UNIFORMってブランド知ってました?

W:名前は知ってましたけど、どんなプロダクト作ってるかまでは分からなかったです。

R:フランスのバッグブランドで、お洒落なんですよ。日本上陸の前から藤原ヒロシさんが現地で見つけて、元々お好きだったみたいで。

T: お店が日本にオープンする前からアトリエに行ってたってプレスリリースにも書いてあった。普通は二枚合わせの生地なのを、今回は一枚で作って薄手にしたのがポイントみたい。

W:ヒロシさんのファンは買うでしょうね。

T:この表にプリントされている#30ってシリアルナンバーなんだ。

W:やることがお洒落だよね。

R:丸の内にお店があって、バッグ以外にもギターケースとかトランクとか色んなラインナップはあるみたいです。けど基本的にはこういった生地感がメインで、ユニセックスで使えそうな感じがしますよね。

W:このコラボレーションで今後もっと浸透しそう。飽きずにずっと使えそうだしさ。

R:フランスだから洗練されてて、小洒落てますよね。

フランスのバッグブランド、L/UNIFORMと藤原ヒロシのfragment designによるコラボレーション。L/UNIFORMの“No.54”のビッグバッグをベースに、ショルダーバッグとして持ちやすいようにストラップを長くし、シングルレイヤーのキャンバスを使うことでバッグを軽量化。サイドに新しい持ち手を付けるなど、藤原 ヒロシのアイデアが随所に取り入れられている。“No.129”と題されたこのモデルは、ナチュラルな織布キャンバスに、コットンカラーと同じFRAGMENTのロゴが施されて、各色45点で発売。

L/UNIFORM x fargment design
トートバッグ ¥110,000(L/UNIFORM TOKYO)
TEL:03-6812-2930

(左から) 渡邊敦男(『PRODISM』編集長)、スタイリスト 来田拓也、武井幸久(HONEYEE.COM)



渡邊敦男(『PRODISM』編集長)

1973年生まれ。『Asayan』、『Huge』などの編集を経てフリーランスに転身。2013年にプロダクトにフォーカスした雑誌『PRODISM』を創刊し、現在も編集長として活動中。メンズファッション、スニーカー、ストリートウェアに通じており、独自の美学を持つ。

スタイリスト 来田拓也

1986年生まれ。甲斐弘之氏に師事し、2012年に独立。メンズファッション誌を中心に活躍。トレンドを敏感に取り入れたプロダクトスタイリングにも定評がある。現在アシスタント募集中。

武井幸久(HONEYEE.COM)

1972年生まれ。雑誌『EYESCREAM』の編集者を経てHONEYEE.COMの編集長に就任しつつ1年で退任。フリーの編集者、クリエイティブディレクターとしてブランドサイトやメディアの立ち上げに携わり、2021年秋にHONEYEE.COM編集長に出戻り就任。