ファッションプロダクトのストーリーやその裏側にあるあれやこれやを、少しだけ厳しい目線と深いプロダクト愛でお届けする好評連載企画。雑誌『PRODISM』編集長の渡邊敦男と『HONEYEE.COM』編集長の武井幸久、そしてスタイリストの来田拓也が毎回テーマを決めてピックアップしたモノについて縦横無尽に語ります。今回も5つのブランドから気になる最旬アイテムをピックアップ!
Edit&Text : Atsuo Watanabe(PRODISM)&Yukihisa Takei(HONEYEE.COM)
Styling : Takuya Raita
Photo : Kengo Shimizu
Playboy × HYSTERIC GLAMOUR
グラフィックTシャツ
“シンプルな服で育ってきた若い世代がグラフィックに飢えていたのかも”(武井)

来田拓也(以下 R):久しぶりのHYSTERIC GLAMOURとPlayboyとのコラボレーションです。
渡邊敦男(以下 W):見慣れた組み合わせのコラボだけど、久しぶりなんだ。
R:HYSTERIC GLAMOURは最近特に若い世代からの人気がすごいみたいです。
武井幸久(以下 T):Uniqloとかのシンプルな洋服で育ってきた若い世代が、こういう世界観がしっかりしていて、グラフィックも面白いブランドに飢えてたのかもね。
W:けどTシャツで¥13,000だと若い子にとっては高いかも。
R:デザイナーの北村(信彦)さんを知ってる世代だとその凄さで納得しますけど、若い子たちはシンプルにデザインに惹かれて選んでるのかもしれないですね。
W:若い世代から人気が出てるってことは、インフルエンサーとかの人たちも着てるのかな? そういう影響もあるのかもしれないよね。
T:それと変わらないブランドの強さっていうのはあるよね。
W:ずっとブランドをやってきてるから、作るモノに関してもこなれてる。
R:このPlayboyのプリントの感じは懐かしいですよね。
T:しかも「良い生地を使っています」とかは一回もブランド側から言われたことがないけど、昔から生地感も薄手なのに柔くて良いんだよ。
R:オーバーサイズが主流の中でも、シルエットはタイトですね。
W:そこもブレてないってことだね。
HYSTERIC GLAMOURでは定番的なPlayboyとのコラボレーションが復活。セクシーさをファッションやカルチャーに翻訳する上手さは同ブランドならでは。着心地の良さも隠れた魅力のひとつ。
Playboy × HYSTERIC GLAMOUR
Tシャツ ¥13,200(HYSTERIC GLAMOUR)
TEL:03-3478-8471
(C)2022 Playboy Enterprises International,Inc. Playboy and the Rabbit Head Design are trademarks of Playboy Enterprises International,Inc.and used under license by Ozone Community Corporation.
Abu Garcia × DUSTNATION
フィッシングジャケット
“倉石(一樹)くんだけあって、テックウェア的な作り方”(渡邊)

R:単にフィッシングジャケットと言えど、色々なディテールが隠されています。
W:袖が取り外しできるようになっている。倉石(一樹)くんだけあって、テックウェア的な作り方だね。
R:ボトムの2WAYは見ますけど、ジャケットの2WAYってあんまり見ないですね。
W:半袖になるから暑いときとか、シーズンをまたいで使えるのも魅力。
T:Daiwa Pier39ってもう少しシンプルだけど、こっちは色々なギミックが詰まってる感じ。
R:フィッシングジャケットなのに、サイドスリット部分にレザーを使っているところもカッコイイですね。
W:斜めにデザインされたバックポケットには釣り竿が収納できたり、ルアーなどが入る機能ポケットが付いてたり、発想が良い。
T:ファッションとしても着れるけど、ガチ釣りにも使えるんだろうな。
W:それぞれ表情が違うから、こういうテック系のブランドって見直すと面白い。
R:二重のフードになっているのは珍しいですよね。
W:Abu Garciaのロゴが目立たないのも好感が持てます。
釣り具の有名ブランドであるAbu GarciaとDUSTNATIONによるコラボレーションジャケット。デザインは倉石一樹と永戸鉄也が手がけている。本格的に釣りができるほどのオーバースペックとファッション性が両立している。
Abu Garcia × DUSTNATION
ジャケット ¥74,800(PADDLE INC.)
TEL:03-6455-4411
fragment design x RAMIDUS
トートバッグ
“RAMIDUSのバッグはこのストラップが印象的です”(来田)

W:このコラボレーションは結構やってる?
R:そうですね、継続しているシリーズです。撥水と耐久性に優れたバッグになってます。
W:この大きさのRAMIDUSのトートバッグを持っているけど、確かに使いやすい。
T:このSunbrellaのファブリックを使ってるバッグは過去にもやってるの?
R:SunbrellaのファブリックはRAMIDUS前身ブランドのヘッド・ポーター時代にもやってましたね。この仕様のトートバッグ自体は毎シーズンやっていて、柄を変えてリリースしています。単色の蛍光色とか、クリスマスシーズンはチェック柄もやってました。
W:Sunbrellaって日傘とかの生地を作ってるメーカーだから、やっぱり夏向けっぽい仕上がりだ。
R:RAMIDUSのバッグってこのストラップが印象的で、最近街中でもよく見かけるようになりました。
T:少し前に L/UNIFORMのバッグを紹介したけど、(藤原)ヒロシさんってバッグっていう一つのジャンルでも、他ブランドとのコラボレーションを手掛けてるって冷静に考えるとすごいよね。
W:こういう小さい持ち手のバッグって使いやすい。
T:汚れとか気にせずに雑に使えるかも。
W:使い古したら買い換えるみたいな、消耗品みたいな感覚で使えるのも良い点。
RAMIDUSとfragment designによるコラボレーションバッグは、定番的存在。アウトドアテキスタイルのブランド Sunbrella社の生地を使うことで、テキスタイルのバリエーションを楽しめるのも魅力。
RAMIDUS
トートバッグ (L) ¥18,700、トートバッグ (M) ¥16,500(ラミダス トーキョー)
TEL:03-5771-2621
nonnative × Paraboot
カウレザー シューズ
“nonnativeの洋服とのバランスを考えて作っている感じ”(武井)

W:Parabootではあんまり見ない色味です。
R:そうですね、このオールベージュはないかもしれないですね。
W:真ん中にEVAミッドソールをかませてるから、普通のよりソールが厚いんだ。
T:nonnativeって色々なブランドとシューズのコラボレーションをしてるよね。オリジナルでも結構な型数の靴を作ってるから、ブランドとしても靴にこだわっているのが分かるな。
R:この前取り上げたGUIDIとのコラボレーションもそうでしたね。
W:生地とか色だけじゃなくて、ここまで真剣に靴の別注をやるブランドも珍しい。シルエットから全体のコーディネートまでを計算して、靴を作ってるんだと思う。
T:nonnativeの洋服とのバランスを考えて作ってる感じしますよね。
W:ショーツも良いしジーンズ以外のパンツにも合いそうだし、オールシーズン履けそうな感じがする。
2021年にモカシンタイプで登場したParabootとnonnativeによるコラボレーションの第2弾。今シーズンはベースとなるティエールをアレンジした一足。nonnativeではお馴染みのサンドベージュのカラーのParabootは新鮮。
nonnative × Paraboot
ティエール カウレザー ¥59,400(vendor)
TEL:03-6452-3072
Scye SPECS
マルコム・Xモデル サングラス
“クラシックなアイウェアのかっこよさ”(来田)

R:GLOBE SPECSとScyeとのコラボレーションで、マルコム・Xが着けていたヴィンテージモデルを現代風にアップデートした復刻モデルです。こういう著名人シリーズをこれまでやってるみたいで。
W:なんでScyeと組んでマルコム・Xなんだろうね?あんまりリンクしてこないけど、会話の流れで決まったのかな。scyeとは定期的にコラボレーションしてるんだっけ?
R:そうですね、なので今回がその新作になります。
T:ちょっとサイズ感が小さめなのか。コレが似合う人羨ましいな(笑)。
W:最近のアイウェアブランドとは違った、大人な雰囲気なのは面白いんじゃないかな。
R:この著名人シリーズはバディ・ホリーやポール・ウェラーもやってたみたいなので、そういうインスピレーションが違いを作ってるのかもしれないですね。
W:それこそスーツとかフォーマルな格好のとき向けじゃない?
T:カジュアルなスタイルよりそっちですね。
R:こういうクラシックなアイウェアもカッコいいですね。
日本のアイウェアブランドGLOBE SPECSとScyeによるコラボレーションは、アイコニックな著名人がかけていたアイウェアがアイデアソース。今回はアメリカのマルコムXの知的な印象を蘇らせている。
Scye SPECS
Malik ¥55,000サイ スペックス(グローブスペックス エージェント)
TEL:03-5459-8326

(左から) 渡邊敦男(『PRODISM』編集長)、スタイリスト 来田拓也、武井幸久(HONEYEE.COM)
渡邊敦男(『PRODISM』編集長)
1973年生まれ。『Asayan』、『Huge』などの編集を経てフリーランスに転身。2013年にプロダクトにフォーカスした雑誌『PRODISM』を創刊し、現在も編集長として活動中。メンズファッション、スニーカー、ストリートウェアに通じており、独自の美学を持つ。
スタイリスト 来田拓也
1986年生まれ。甲斐弘之氏に師事し、2012年に独立。メンズファッション誌を中心に活躍。トレンドを敏感に取り入れたプロダクトスタイリングにも定評がある。現在アシスタント募集中。
武井幸久(HONEYEE.COM)
1972年生まれ。雑誌『EYESCREAM』の編集者を経てHONEYEE.COMの編集長に就任しつつ1年で退任。フリーの編集者、クリエイティブディレクターとしてブランドサイトやメディアの立ち上げに携わり、2021年秋にHONEYEE.COM編集長に出戻り就任。