BEHIND THE PRODUCT #18
2022.09.09

ファッションプロダクトのストーリーやその裏側にあるあれやこれやを、少しだけ厳しい目線と深いプロダクト愛でお届けする好評連載企画。雑誌『PRODISM』編集長の渡邊敦男と『HONEYEE.COM』編集長の武井幸久、そしてスタイリストの来田拓也が毎回テーマを決めてピックアップしたモノについて縦横無尽に語ります。今回も5つのブランドから気になる最旬アイテムをピックアップ!





Edit&Text : Atsuo Watanabe(PRODISM)&Yukihisa Takei(HONEYEE.COM)
Styling : Takuya Raita
Photo : Kengo Shimizu


visvim

BARLOW P.O.

“経年変化を楽しみながら10年ぐらい着られそう”(来田)

渡邊敦男(以下 W):コレはフリースじゃなくてウールなんだ。

来田拓也(以下 R):そうなんです、天然のウールを使っているアイテムになります。光沢があってすごく高級感がありますね。

W:visvimって本当に良いモノ作りをしてるのが分かる。

R:これだと経年変化を楽しみながら10年ぐらい着られそうな気がしますね。

武井幸久(以下 T):白Tの上に羽織るだけで、抜け感があって良いスタイルが作れそう。

W:パッと見コレをジーンズと一緒に着ていたら、「どこのヴィンテージのフリース着てるの?」っていう雰囲気が出そう。visvimってその辺りの表現が上手い。

R:エルボーパッチと同じミリタリー調の生地が貼ってあって、裏地もカッコイイんですよ。

T:長く着れそうなアイテムだしね。visvimのアーカイブって今後もっと値段が上がりそう。

visvimのフリースは一般的なポリエステルは使用せず、天然の繊細なウールパイル生地を使った生地を採用することで、ラグジュアリーなタッチと経年感のある表情が共存。スナップ開き仕様のスタンドカラープルオーバーブルゾンは、ドロップショルダーでゆったりとしたシルエットになっている。

visvim
BARLOW P.O. ¥12,9800
F.I.L TOKYO
TEL : 03-5778-3259



Sasquatchfabrix.

スウェットシャツ、鈴木 賢二 コラボTシャツ

“こういったスタイルも、もう一つの東京のストリートファッションの形”(武井)

W:面白いアートワークですね。

T:鈴木 賢二さんという昭和の版画家で、労働者の権利を主張し続けたプロレタリア系の作家の作品なんですよ。デザイナーの横山(大介)さんが惚れ込んで、今回こういう形で実現したらしいです。

W:ヴィンテージ風のスウェット生地も使っていて、味がありますよね。自分では着ないけど、若い子たちが着ると似合いそう。

R:値段も買いやすいですしね。

T:こういったスタイルも、もう一つの東京のストリートファッションの形って感じがします。

W:アナーキーというか。

R:Sasquatchfabrix.が本当に似合う人って、個性を持っていてカッコイイですよね。

W:けどメッセージ的には僕らみたいなおっさん世代が着るアイテムではないですよね。ガチすぎるから(笑)。

まるでスローガンのような「労働者を大切に」というテーマが印象的なSasquatchfabrix.の2022AWシーズンを象徴するプリントのスウェットやTシャツのシリーズ。Tシャツのグラフィックの方は、昭和の版画家で、プロレタリア的な作品も数多く遺している鈴木賢二氏の作品を採用しており、時代を超え、現代へ通じるメッセージも感じるアイテムになっている。

Sasquatchfabrix.
VINTAGE SWEAT ¥19,800
横田大集会Tシャツ ¥8,800
首切り全面テッカイTシャツ ¥8,250

ドワグラフ
https://sasquatchfabrix.com/



C.E

OVERDYE KL viper send tracks T  / OVERDYE KL ce002 T

“いつも通りグラフィックは難解ですね(笑)”(武井)

R:C.Eで発色の良い製品染めのグラフィックTシャツって、珍しいので選んできました。

T:グラフィックに何か意味はあるんだろうけど、いつも通り難解ですね(笑)。

W:この感じのガーメントダイTシャツって、たしかに最近はC.Eやってない印象だね。

R:街中でC.Eを着てると、「あ、C.E着てるって」って分かりますよね。

W:あとC.Eもこのカラーリングで作ってるってことは、やっぱりこの辺のピンクとかグリーンがトレンドなんだろうね。

T:見てると欲しくなってくるな。

W:秋ぐらいまで着れそうだしね。

蛍光色にも近いピンクとグリーンだが、製品染めをすることで単なるビビッドさとは一味違う色出しのC.EのTシャツ。グラフィックはC.Eらしさ全開。

C.E
OVERDYE KL viper send tracks T ¥9,900
OVERDYE KL ce002 T ¥9,900
C.E
www.cavempt.com



KAPTAIN SUNSHINE × Goldwin

シェルジャケット

“Goldwinとのコラボレーションが、一番相性が良い気がする” (渡邊)

W:コレは本格的なスキーウェア?

R:今回は90年代のビッグマウンテンスキーウェアをオマージュしているそうです。

T:KAPTAIN SUNSHINEがそれを提案したのかな?

R:そんな気はしますね。オーバーサイズで作られているのでシルエットが今っぽくて、毎回このコラボレーションは人気です。

W:KAPTAIN SUNSHINEって過去に色々なブランドとコラボレーションしてきたけど、Goldwinとが一番相性が良い気がする。デザイナーの児島(晋輔)君が実際にスキーをやっていたのが大きいのかも。スポーツウェア特有の野暮っぽさもなく、上手くファッションの要素がプラスされていて、ちょうど良いバランスだと思う。

KAPTAIN SUNSHINEとGoldwinによる幾度目かのコラボレーション。今回のモデルでは、クラシックなビッグマウンテンスキーウェアをオマージュしており、機能性とファッション性の両立が感じられる一着に仕上がっている。

KAPTAIN SUNSHAINE シェルジャケット ¥110,000
キャプテン サンシャイン
TEL : 03-6277-2193



Engineered Garments × Easymoc

スライドビットモック

“エキゾチックなレザーって、外しのアイテムとしてお洒落” (来田

T:Easymocって有名なブランドですか?

R:いえ、2021年に創業したアメリカ発のハンドメイドシューズブランドみたいです。

T: まさにNepenthesが探してきそうなブランドですよね。昔、バイヤーの方にバイイングのやり方を聞いたことあるんですが、アメリカを車で走ってて偶然見つけるみたいなこともあるって言ってましたね。

W:こういう新しいブランドともコラボレーションするって良いですよね。リザードの方は、スーツとかフォーマルなスタイルに合わせるのが良いかも。

T:Engineered Garmentsのセットアップとかでもハマりそう。

R:エキゾチックなレザーって、外しのアイテムとしてお洒落に見えますね。

W:けど上品さをプラスしてあげないと、ガラが悪く見えちゃうね。

T:このEasymocって、新しいブランドとは思えないクラシックさが漂ってるなー。

R:モカシンシューズがメインですけど、オリジナルのシューズもカッコイイですね。

W:日本でどこかが取り扱うか、今後楽しみにしておきます。

クラシックな雰囲気があるシューズなので、アメリカの隠れた老舗ブランドかと思いきや、実は2021年に立ち上がった新ブランドであるEasymoc。今回紹介するEngineered Garmentsとのコラボレーションモデルはクラシックさとモダンさの両方を感じられるものに。Easymocは今後も注目が高まりそう。

ENGINEERED GARMENTS × Easymoc
スライドビットモック ¥56,600
エンジニアド ガーメンツ
TEL: 03 -6419-1798



(左から) 渡邊敦男(『PRODISM』編集長)、スタイリスト 来田拓也、武井幸久(HONEYEE.COM)



渡邊敦男(『PRODISM』編集長)

1973年生まれ。『Asayan』、『Huge』などの編集を経てフリーランスに転身。2013年にプロダクトにフォーカスした雑誌『PRODISM』を創刊し、現在も編集長として活動中。メンズファッション、スニーカー、ストリートウェアに通じており、独自の美学を持つ。

スタイリスト 来田拓也

1986年生まれ。甲斐弘之氏に師事し、2012年に独立。メンズファッション誌を中心に活躍。トレンドを敏感に取り入れたプロダクトスタイリングにも定評がある。現在アシスタント募集中。

武井幸久(HONEYEE.COM)

1972年生まれ。雑誌『EYESCREAM』の編集者を経てHONEYEE.COMの編集長に就任しつつ1年で退任。フリーの編集者、クリエイティブディレクターとしてブランドサイトやメディアの立ち上げに携わり、2021年秋にHONEYEE.COM編集長に出戻り就任。