BEHIND THE PRODUCT #20
2022.10.20

ファッションプロダクトのストーリーやその裏側にあるあれやこれやを、少しだけ厳しい目線と深いプロダクト愛でお届けする好評連載企画。雑誌『PRODISM』編集長の渡邊敦男と『HONEYEE.COM』編集長の武井幸久、そしてスタイリストの来田拓也が毎回テーマを決めてピックアップしたモノについて縦横無尽に語ります。今回も5つのブランドから気になる最旬アイテムをピックアップ!





Edit&Text : Atsuo Watanabe(PRODISM)&Yukihisa Takei(HONEYEE.COM)
Styling : Takuya Raita
Photo : Kengo Shimizu


WACKO MARIA × Jean-Mihel Basquiat

クルーネック、カーディガン

“バスキア本人も相当喜ぶんじゃない?っていう逸品ですよ”(武井)

渡邊敦男(以下 W):おー、全面にバスキアじゃん。良いね!

来田拓也(以下 R):以前もコラボしているんですが、こういったカーディガンとかのアイテムでは珍しいなと。

武井幸久(以下 T):前に紹介したアロハシャツも印象的だったけど、コレはバスキア本人も相当喜ぶんじゃない?っていう逸品ですよ。

W:このアイテムを見ても分かるけど、WACKO MARIAってプロダクトのクオリティがここ数年でさらに上がったよね。

T:本当にそうだよね。それにしてもコレは欲しいな。

W:いきましょう。でも、最近武井さんの財布の紐が緩んでるんじゃないですか(笑)?

これまでもWACKO MARIAの十八番であるハワイアンシャツで、ジャン=ミシェル・バスキア作品を使った秀逸なコラボレーションを発表していたが、今回登場したのはカーディガンとニット。今回のアイテムでもバスキア作品の魅力を見事に総柄で表現している。「ただアート作品をプリントしただけ」というコラボが多い中、作家の特性を見事に捉えたアウトプットとなっている。

WACKO MARIA × Jean-Mihel Basquiat
ニット ¥63,800、カーディガン ¥59,400
パラダイス トウキョウ
TEL:03-5708-5277
© Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York.



nonnative

ビーンブーツ

“ホワイトって大胆な色だね、だけど間違いなくお洒落だよ”(渡邊)

R:定番ではないですけど、nonnativeがたまにリリースするビーンブーツです。内側がボア、イタリア製っていうアイテムになります。

W:nonnativeのオリジナルなんだ?

R:はい、オリジナルのブーツです。リリースするとすぐに完売する隠れた名品らしいです。

T:だけどベースになっているのはあのビーンブーツなんだろうね。

W:このホワイトって大胆な色だね、だけど間違いなくお洒落だよ。

T:ビーンブーツと言えば、昔は雑誌で見ない月がないぐらい人気でしたよね。

W:やっぱり写真映えするんですよ。アウトドア好きにはたまらないだろうし、どこかが別注とか作ると行列できますもん。

T:けど街でビーンブーツ履いてる人ってほとんど見たことないんだよな(笑)。

シューズ作りにも定評があるnonnativeによるビーンブーツ。ジップアップ式のフロントもこのブランドのシューズの特徴で、細身ながらソールにボリュームがあるのも、nonnativeのパンツと相性が良い。今回紹介したモデルはオールホワイトの攻めたカラーリング。

nonnative
ビーンブーツ ¥76,780
ベンダー TEL: 03-6452-3072



NICENESS

ニットセットアップ

“スタイリストからすごく人気があるブランドです”(来田)

T:この前ちょうどNICENESSの展示会に行ったんだけど、一つ一つのアイテムの素材とデザインが高度でびっくりした。もっと売れそうなブランドなのに、意外に取り扱いがまだ少ないみたいで。

R:このセットアップもスウェットっぽく見えますが、ニットですごく高級な素材を使ってるそうです。

W:緩めに作ってそうだから、着ていくうちに伸びが気になりそうだけど。

T:コレはある種、NICENESSっぽくはないアイテムですよね?

R:そうですね、けどNICENESSなんで縫製とかの細かいところでこだわってそうです。

T:しかもNICENESSって、ひとつのシーズンでいろんな素材で作っているから、サンプル作るだけで大変そう。

R:それだけでもすごいコストとエネルギーですよね。そのせいもあるのか、スタイリストからすごく人気はあるんですよ。

W:素材の良さとかは分かるけど、お店でラックに並んだときの地味さは拭えないよね。実際に着ないとプロダクトの良さが分からない。まぁ着ればいいじゃんって話なんだけどね(笑)。

近年注目されているブランドのひとつ、NICENESSのニットのセットアップ。奇を衒うことのないスタンダードなスウェット上下のようにも見えるが、ニットで仕上げることで、大人が着ても上質な雰囲気が漂うものになっている。素材感の良さは一目瞭然。

NICENESS
ニットパーカ¥70,400 ニットパンツ¥75,900
イーライト
TEL :  03-6712-7034



F.C.Real Bristol

ペイズリーダウンベスト

“大人のためのカジュアルウェアの雰囲気はずっと踏襲してますよね”(渡邊)

R:また最近トレンドになってきている、バンダナ柄を採用したダウンベストです。

W:コレは他のアウターもあるよね? カモ柄で別のアイテムを買おうと思ったらもう完売してて。

T:前もたしかバンダナのシリーズありましたよね。

W:定期的にやってますね。F.C.R.B.って地味なデザインもいいけど、こういうキャッチーなアイテムの方が物欲がアップします。

T:ゴルフウェアとして着てる人がいますけど、その感覚は理解できる気がして。ストリートとスポーツウェアのミックスみたいな。

W:大人のためのカジュアルウェアの雰囲気はずっと踏襲してますよね。

R:こういうお洒落なスポーツウェアの代表格っていう印象です。

T:今後の新体制も引き続き注目したいですね。

アメカジやヴィンテージのイメージが強いぺイズリー柄を使いながら、どこかスポーティな印象に仕上げたF.C.R.B.のダウンベスト。スウェットパンツなどと合わせるだけでスタイルが完成する、コーディネート的にも便利な一着。

F.C.R.B.
ダウンベスト ¥44,000
SOPH.
TEL 03-5775-2290



COTTPN PAN

ブルゾン

“アーカイブの知識がある人が、こういうアイテムを作ると個性が浮き出てくる” (渡邊)

R:町田にあるdanjilという古着屋のオーナーの方が携わっているブランドです。

W:コレがリバーシブルなんだ。

T:古着屋の方が関わっているけど、古着のリメイクじゃないんだね。

R:そういう雰囲気はありますよね。しかもリバーシブルなのに両面とも完成度は高いですよ。

T:色の使い方がすごいな。

W:町田では有名なお店なの?

R:はい、あとはBボーイカルチャーが好きな人には人気ですね。

T:その店は知り合いのスタイリストに6年前ぐらいから、ずっとオススメされてました。東京の古着屋が自分達で服を作って新しい流れを生み出しているのは面白いですよ。

W:アーカイブの知識がある人が、こういうアイテムを作ると個性が浮き出てくるから不思議。ある程度の型数を揃えたラインナップを見てみたい。

東京・町田の古着屋で、高感度なファッション好きから支持されているdanjilのオーナーが携わるブランド。まるで古着のミリタリーウェアとフリースをつなぎ合わせたようなデザインながら、新作としてリリースされた高度なアイテム。ブランドとしても今後注目を集めそうだ。

COTTON PAN
リバーシブル ブルゾン¥66,000
オーバーリバー
info@overriver.com



(左から) 渡邊敦男(『PRODISM』編集長)、スタイリスト 来田拓也、武井幸久(HONEYEE.COM)



渡邊敦男(『PRODISM』編集長)

1973年生まれ。『Asayan』、『Huge』などの編集を経てフリーランスに転身。2013年にプロダクトにフォーカスした雑誌『PRODISM』を創刊し、現在も編集長として活動中。メンズファッション、スニーカー、ストリートウェアに通じており、独自の美学を持つ。

スタイリスト 来田拓也

1986年生まれ。甲斐弘之氏に師事し、2012年に独立。メンズファッション誌を中心に活躍。トレンドを敏感に取り入れたプロダクトスタイリングにも定評がある。現在アシスタント募集中。

武井幸久(HONEYEE.COM)

1972年生まれ。雑誌『EYESCREAM』の編集者を経てHONEYEE.COMの編集長に就任しつつ1年で退任。フリーの編集者、クリエイティブディレクターとしてブランドサイトやメディアの立ち上げに携わり、2021年秋にHONEYEE.COM編集長に出戻り就任。