BUYERS' RECOMMEND|Vol.5
2022.12.21

あのバイヤーが推す最旬アイテム
Vol.5:L'ECHOPPE、IMA:ZINE​、ENSEMBLE編

ファッション業界の最前線で活躍するバイヤーの目利きに頼って選び抜かれたアイテムを、リアルなコメントと共にHONEYEE.COMが連載形式で紹介しようというこの企画。第4回目は L'ECHOPPE、IMA:ZINE​、ENSEMBLE からバイヤー3名が登場。




Text Takaaki Miyake


L'ECHOPPE

BAYCREW’S が手がけるレーベルの中でも、ファッション好きから随一の信頼を寄せられるL'ECHOPPE では、シーズンを通して常に人気の別注アイテムが店内に並ぶ。そして2015年に同レーベルを立ち上げた金子さん自ら、「衝撃を受けた」と言わしめたアイテムから今回はスタート。

「このスウェットのファーストモデルが6、7年前のコレクションで発表された当時、メチャクチャ衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えています。それ以来僕の中で seven by seven はヤバいブランド”の一つとなり、今でも継続的にコラボをさせていただいています」

「久しぶりに復活したシルクスウェットは何色ものシルク混糸の新素材を使用し、より強い度目で編み立てられています。前回よりも独創性が高まり、再び衝撃を受けました。毎回少しわがまま言わせてもらって、今回も個人的に欲しい要素を詰め込んだ別注をお願いしました。古着のスウェットでたまに見かける、首のセンターを断ち切ったスタイルをデザインソースにしていて、ちょっと風変わりなフーディーが完成しました。シルクだけどガンガン洗ってスウェットのように着込みたいですね」

お洒落着としてワードローブに迎えたものの、結局は家着やワンマイルウェアになってしまいがちなフーディーに上質なシルク混糸を使用することで、上品な佇まいを纏ったアイテムに昇華。またデイリーにサッと羽織りたくなる、同素材のスナップカーディガンにも注目したい。グレーの他に、個性派へ向けたブルーとバーガンディのカラーリングのラインナップにも懐の深さを感じる。

SEVEN BY SEVEN for L'ECHOPPE 別注SILK KNIT HOODIE ¥83,600
L'ECHOPPE青山店
TEL:03-5413-4714

金子恵治
L'ECHOPPE コンセプター

セレクトショップ EDIFICE でバイヤーを務めた後に独立。自身の活動を経て、2015年に L'ECHOPPE を立ち上げる。近年は WEEKEND や THE COOP、INVENTORY を立ち上げるなど、活躍は多岐にわたる。



IMA:ZINE

2017年に大阪・中津にショップをオープンして以来、瞬く間にファンを獲得した IMA:ZINE。現在取り扱うブランド数は50を優に超えるが、その規模や知名度を問わず、それぞれのブランドが持つ確固たる強い個性を感じる。そんな同店の肝となるバイイングを担当する、名物ディレクターの谷さんから届いたレコメンドがこちら。

「この別注を作るにあたり考えたのが『これ SCYEなの??』という疑問を持たせることでした。イギリスのカルチャーと日本の手仕事をミックスさせた“偶然”が絶品を生み出したコートです。高密に織り上げられた素材には、タテ糸にポリエステルとナイロン、ヨコ糸に20/1コットンを配置しています。自然な光沢と撥水性、ヴィンテージ風のこなれた風合いが特徴です」

「今回の別注はインラインと異なり、レイヤー部分生地に張りのない柔らかい生地を、刺し子ではめこみました。伝統的に手縫いは古くなったものや布の補修、また丈夫で水を通しにくいため、防火布としても使用されていたんです。今回のアイテムは日本の伝統的な織物の美しさに、ミリタリーテイストを織り込んだような感覚を落とし込みました」

イタリア北部コモ地区に位置する OLMETEX社 のアウター素材を使用した、レイヤードスタイルのハンティングジャケット。裾から覗くドビー織の異素ミックスが、SCYE のインラインでも人気のアウターを一層引き立てている。裏地には両面接着によるウール生地を使用するなど、見えない部分にもアイデアやこだわりを感じさせるのも IMA:ZINE ならでは。

Scye / Layered Hunting Jacket for IMA:ZINE OLIVE ¥137,500
IMA:ZINE
TEL:06-7506-9378

谷篤人
IMA:ZINE ディレクター

BEAMS でプレスやバイヤー職を経験したのち、2017年大阪、中津にオープンした IMA:ZINE の立ち上げに参画。国内外のアーティストやデザイナーとも積極的にコラボレーションを仕掛ける他、人気のレーベル Zepanese Club でもディレクターとして手腕を振るう。



ENSEMBLE

長野県松本市内で3店舗を運営する IDEAL の中でも、特に強い存在感を示すのが 国内外のブランドが程よい抜け感でミックスされる ENSEMBLEだ。自らバイイングも行うという、グループのファウンダーの橋場さんは何をオススメしてくれたのか?

「表層的な新しさではない、プロダクトの本質と向き合うことで最適解を求めていく COMOLI のデザイン哲学において、ユニフォームという概念の再考にはこれ以上ない親和性を感じます。以前からサッカーユニフォームのデザインがしたいと語っていた小森さんが、遂にイギリス・マンチェスター発祥のフットボールブランド umbro とのコラボレーションを実現させたアイテムです。

COMOLI のロゴは一切入れず、90年代に使用されていた大文字の UMBRO ロゴのみを配したミニマルなデザイン。加えて COMOLI らしいルーズなシルエットが静かに主張しています。全6型のカプセルコレクションの中でも、このセットアップは COMOLI 好きにもサッカーファンにも刺さる逸品ではないでしょうか。umbro 時代のイングランド代表を彷彿とさせるホワイトカラーのチョイスに、デザイナーのサッカーとユニフォームに対する熱量を感じずにはいられません」

日本代表の目覚ましい活躍も記憶に新しいW杯シーズンには、まさにうってつけのコラボレーション。橋場さんが語ってくれたように、そのデザインからは純粋に良いプロダクト作りを追求した熱量を感じずにはいられない。単なるダブルネームのロゴデザインを排した潔さに拍手を送りたい。

UMBRO×COMOLI
FC TRACK JACKET WHITE
FC TRACK PANTS WHITE
ENSEMBLE
TEL:​​0263-31-3145

橋場英太朗
株式会社イデアル代表 / ENSEMBLE プレイングマネージャー

長野県の長野市、松本市でセレクトショップを4店舗経営。趣味はJリーグ主にサッカー観戦、また地元Jクラブにサポートカンパニーとして協賛するほど愛を注ぐ日々を送っている。