BUYERS' RECOMMEND|Vol.23:Mukta / えん -en-
2023.09.06

BUYERS' RECOMMEND | あのバイヤーが推す最旬アイテム
Vol.23:Mukta、えん -en-編

ファッション業界の最前線で活躍するバイヤーの目利きに頼って選び抜かれたアイテムを、リアルなコメントと共にHONEYEE.COMが連載形式で紹介しようというこの企画。第23回目はMukta / Sal、えん -en- から2名の名物バイヤーが登場。

Text Takaaki Miyake

Mukta / Sal

神戸・北野エリアで国内外の新進気鋭ブランドを中心に、アートブックや器、レコードなどを取り扱う Mukta / Sal。今回はシューズブランド Kids Love Gaite とのジョイントプロジェクトから誕生したアイテムを、バイヤーのイタイさんがレコメンドしてくれた。

「ファーストリリースは表革での発売をしましたが、今回はリネンアッパーとスウェードアッパータイプの2種類を新たにご用意しました。リネンアッパーモデルはピンズや缶バッジなどで靴をカスタムもでき、その感覚が意外と新しいのではと思います。スウェードに関しては本来表面には使わない、荒い仕上がりのスウェードの裏革をアッパーに使用し、焦がし加工という手法でエイジングを表現しました。

一方でブラックカラーはそれと対照的に、Charles F Stead社のスーパーバックを用いて、きめ細やかで上品な仕上がりが印象的です。手間をかけたその革を 9分仕立てで丁寧に作り上げ、ソールの細かい部分も日本の職人の手作業によって、独特の表情を生み出しています。男性的な粗野さと女性的なエレガンスの両方を持つこのシューズは、三島由紀夫文学のように逞しく、儚く、繊細な雰囲気で足元を彩ってくれるのではないでしょうか?」

KLG for Mukta は90年代のロンドンで修行を積んだ山本真太郎による Kids Love Gaite と、セレクトショップの Mukta / Sal が織りなすジョイントプロジェクト。今回の最新作である Mishima は、その名が示すように日本を代表する作家の三島由紀夫がテーマに。三島が風変わりな履き口のローファーを着用している一枚の写真を着想源にした、ローファーとオペラシューズをブレンドしたようなデザインからは独自の美意識を感じさせる。

KLG for Mukta “Mishima” Linen ¥69,300

KLG for Mukta “Mishima” Suede Black ¥82,500

KLG for Mukta “Mishima” Suede Brown ¥82,500

Mukta / Sal
https://mukta.jp/
https://www.instagram.com/mukta_sal/

イタイタイコウ
Mukta / Sal バイヤー

1996年生まれ。姉の影響でファッションに興味を持ち、兄の反面教師で不安定な仕事を志す。鷲田 清一の著書を読んだのち、大学を中退。大阪の気鋭セレクトショップで経験を積んだ後、2018年にMuktaの2号店であるSalの立ち上げに参画、入社。バイイング、別注やオリジナル企画、プレス業務に携わる。店頭では情緒不安定な接客が好評を博しているそう。学生時代の専攻はポストモダニズム。趣味はソフトテニスと料理。好きなものはお酒とニット。嫌いなものはブログ執筆と毛玉。

えん -en-

知る人ぞ知る世田谷区世田谷で営業する えん -en- では、国内ブランドを中心としたインディペンデントな哲学を体現するセレクトが魅力を放つ。そんな同店からは店主の池田さんがオススメする、秋冬シーズンに向けて手に入れたいニットウェアをご紹介。

「デザイナーの故郷である石川県の風景や文化を、巧みにニットウェアへ落とし込むブランドが YASHIKI です。『通学路』をテーマにした今シーズンのこのニットは、“虫の音が響く秋の夜”の『夜長』をイメージしています。そんなニットポロをベースに、オープン1周年記念として、別注アイテムを制作していただきました。ただ単にカラー別注をしては面白味がないので、『通学路』と『夜長』を掛け合わせた情景を考え、このコバルトブルーを選びました。。

幼い頃の放課後の帰り道に憶えた、夕方から夜に移り変わる深みのある空の青。そして個人的にYVES KLEIN が好きなのも理由の一つです。そのため、カラーは KLEIN BLUE と名付けました。

またスーピマ超長綿の毛羽をガス焼きした光沢感のある上品な生地感なので、深みのあるコバルトブルーがより引き立つ仕上がりになったかなと思います。僕自身、YASHIKI のニットポロは何着も持つほどのファンなので、多くの方にも体感していただきたいです。『通学路』での色々な思い出に想いを馳せながら、YASHIKI のアイテムを楽しんでいただけたらなと思います」

虫の音が響く静かな秋の夜をイメージしたという、なんとも情緒が漂う一着。80番手の細い糸を8本で12ゲージに仕上げた、薄手ながらもしっかりとした編み地になっており、着用時に肩が落ちて柔らかな印象になる YASHIKI 定番の着物のパターンもオマージュして仕上げた。袖口には家紋をアレンジしたブランドアイコンの矢絣柄が入っているのもさりげない。

Yonaga Knit Polo ¥39,050

えん -en-
https://en-setagaya.com/
https://www.instagram.com/en_setagaya/

池田洋輔
えん -en- 運営者

学生時代からセレクトショップや国内コレクションブランドの販売員を経験し、独立を目指して前職ではマーケティング会社に勤務。様々なクライアント業を経験し、2022年に独立。