「夜の世界」、そして拡張し続けるユーモア
Text Yukihisa Takei
Runway Photo Luca Tombolini
パリメンズファッションウィークでランウェイを行ったMaison MIHARA YASUHIROの2024AWコレクションのルックが公開された。
今シーズンのテーマは「WOBBLER PART FOUR」。意図的な加工、錯覚や模造。SS24 に登場した「ビッグシルエット」シリーズをさらに肥大化させ、ケープのように脇下両サイドが開いたエレガントなブルゾンやコートをメンズ、ウィメンズともに多数披露。
デザイナーの三原康裕が脳裏に浮かべたのは、兄から着古しを譲り受けていた体験とメランコリックな記憶だという。そして、子どもに大人の服を着せたときに生じる不完全さや、「もうこれ以上大人が成長することはない」 と皮肉めいたメタファーを込めた。
今回のコレクションでは、三原にとってインスピレーション源のひとつである「夜の世界」が生彩を放つ。艶感のあるエナメル地のフェイクレザー、燦然と輝くテープ糸のウィメンズニットなどの煌びやかな新素材も登場し、無秩序な夜のムードを昂らせている。
アイテムにおいては、片山勇によるメイド・イン・ジャパンのレザーブランド ISAMU KATAYAMA BACKLASH とのシーズンコラボレーションが登場。メンズ 5 型、ウィメンズ 4 型、それぞれ異なる 2 つの素材からなるリアルレザーアイテムをオールブラックで展開する。スニーカーは80 年代に登場したバスケットボールシューズをベースに、ソールは 誇張させたデザインの新型「KEITH」を発表した。
Maison MIHARA YASUHIRO のユーモアはシーズンを追うごとに拡張し続けている。
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Maison MIHARA YASUHIRO