デスティネーション・ストア | File 034
2024.02.02

デスティネーション・ストア | HONEYEE.COM的個性派シティガイド 
File 034:はなまる整骨院(東京都・経堂)

スマートフォンでどこにでも行った気になれる時代。むしろスマートフォン片手に「ここにしかない」を体感しに行ってみてはどうだろう。HONEYEE.COMが選んだ“目的地になる店”を紹介する連載「デスティネーション・ストア」。File 034は小田急線経堂駅から地元の商店街沿いを歩いた先に見えてくる、ローカルに長年愛されている「はなまる整骨院」をご紹介する。

Text Takaaki Miyake

アートギャラリーのような待合室

これまで様々な場所に点在するジャンルレスな“デスティネーション”の数々をご紹介してきた本企画においても、今回は初となる整骨院が登場。そもそも「なぜ整骨院?」と疑問に思うかもしれないが、この一味も二味も他の院とは異なるユニークさ持つ「はなまる整骨院」へ実際に足を踏み入れると、その理由はすぐに分かるはずだ。

まず院内へ入ると一番に目を引かれるのはファッションブランドやアーティスト、コーヒーショップなど、とにかくありとあらゆる無数のステッカーに覆われた受付のカウンターだろう。さらに待合スペースはおなじみの週刊誌や新聞はなく、大友克洋​​の代表作「AKIRA」やファッション雑誌、ZINなどカルチャー色豊かな書籍の数々が本棚に並び、壁にはアートワークが飾られ、まるで小さなアートギャラリーのような雰囲気が漂う。

オリジナルグッズからファッションブランドとのコラボまで

過去にはオリジナルのマーチ制作や Ginza Sony Park​​ でのポップアップ、ファッションブランドの WIND AND SEA とのコラボレーションをするなど、一般の整骨院とは明らかに違った顔を見せる「はなまる整骨院」。こういったクリエイティブな側面はどのようにして作り上げられたのか、その理由を院長の中野浩樹さんが教えてくれた。​​

「僕はあくまで地元の整骨院として、技術力を大切にしながら今年で19年目を迎えたという意識です。たまたま10年ぐらい前からkenjiimaoさんやDKJさんとプライベートで親交を深めるようになり、そこから段々とストリートカルチャーの中にいる人たちが来院されるようになったんです。たしかに昔から周りにスケートやグラフィティー、DJをやっていた友達が周りにいたので、なんとなく憧れは持っていました。

ですが受付のスペースも純粋に僕の趣味で好きなモノや仲の良いアーティストの作品などを置いているだけで、いたって普通の感覚でやっているつもりです。ただそれを地元のおじいちゃんやおばあちゃんが手にとってくれるシーンがよくあって、それを見ると嬉しくも感じます」

「最初のTシャツをリリースしたのはオープン10周年がきっかけでした。地元三重県・伊勢市のセレクトショップ『ScribeArtWorks​​』のオーナーであり、高校時代からの友人にデザインをしてもらったんです。実は『高校生の頃からいつか大人になったら何か一緒にやろう』と話していた夢が実現した瞬間でもありました」

まだ当時はこういったローカルなお店が独自でグッズを作ることは珍しく、メディアで紹介される機会や街中へ着ていく人の数も徐々に増え、過去には湯呑みやパロサントといったアイテムもリリース。一方で来院をすることのない人から、そういった側面だけで認知される懸念を払拭するためにここ数年はオリジナルグッズの制作も封印してきたという。

本業があってこそ

「一時期はそういった“ヒップさ”みたいなイメージを持たれてしまうことが多々あったのですが、僕らはやはりストリートの人間ではなく、あくまで技術を持った専門職。今いるスタッフも若くてオシャレな子たちが集まっていますが、一番の根底にあるのは技術に対する向上心や意欲です」

元々はトレーナーとしてアスリートを数多く診てきた経験を持つ、副院長の長島一輝さんも次のように話してくれた。​​

「僕もここを知ったのは雑誌で取り上げられていたグッズがきっかけでした。院長が言ったように音楽やアート、ファッションが好きな20代や30代のスタッフが集まっているのも事実ですが、『はなまる整骨院』に入ってから何よりもその技術力の高さに驚きました。

髪型や服装もある程度は自由であると同時に、その分、身体を預かる専門職としてのしっかりとした土台は院内でも徹底するようにしています。僕は10年以上、スポーツの

現場でアスリートのサポートをしてきたので、そういった経験で得た知識や技術を街の整骨院で提供できることができています。感覚としては患者さん全員がプレイヤーという考えのもと施術をしていて、皆さん仕事や家事など何かしら生活の中から不調はあるはずなんです」

長島さんいわく「アスリートもオフィスワーカーもお母さんも同じ身体」で、とにかく大切なのは身体をケアすること。「はなまる整骨院」では独自の技術を軸に、それぞれのスタッフがスポーツ医学や東洋医学などの特色を活かした施術こそが、経堂の地で長年愛される理由に繋がっているのだ。

20周年のアニバーサリーイヤーへ向けて

現在は学芸大学にある美容室「ロビン」でも月に数回の出張ポップアップも開催。これも整骨院を身近に感じてもらい、より多くの人に体をケアする重要性を知ってほしいという想いからだ。不調がないと思っている人でも少し施術をするとほぼ必ず改善が見らるらしいので、普段ケアがおろそかになっている人はオンラインから一度予約をしてみては?

そして来年は20周年を迎えるため、久々に再びオリジナルグッズのリリースが予定されている。まだ具体的にはどういったアイテムになるかは検討中らしいが、今から楽しみにしておきたい。

DESTINATION STORES | File 34
ハナマルセイコツイン | はなまる整骨院
東京都世田谷区経堂5丁目29−1
営業時間:10:00~12:30 / 15:00~20:00(月・火・水・金)、10:00〜17:30(土) (木・日 休診)
https://hanamaru-genki.com/
https://www.instagram.com/hanamaru_kyodo/